勝負を前にあらためて緊張を覚えるおこじょ。今更、後には戻れない。先手はおこじょからだ。
カップにサイを投げ入れ派手に振る。サイが勢い良くカップの中を跳ね回り、更に勢い良く机に
叩きつける。見事なまでに考えなしの振りだ。

                 そっと、カップを上げる・・・

                 息を呑む一瞬・・・

8・・・!

お、中々いい目だ。マスターも低く唸る。

続いて、マスターの番だ!

8!!

おお、さすがはマスター!見事8を振り、同点決勝に持ちこんだ。今度こそはと、全神経を研ぎ澄まし
小宇宙を集中させるおこじょ。全ての観衆の目がおこじょ集る!同時に、例えとえ様の無いプレッシャ
ーが重圧となって圧し掛かる!!次ぎの瞬間、運命のサイが・・・!!!

カラカラ・・・

カラカラカラ・・・・!
果たして出た目は!!全ての視線が、2個のサイに注がれる!!!

10!!!!!!

おおお!!!ギャラリーが歓声を上げる。今度はマスターがプレッシャーを受ける番だ!更なる重圧が
まるで兇器が如くマスターに襲いかかる!!

9!!!

うぉぉぉぉ!!!!大歓声が沸き起こった!喜びのVサインを掲げるおこじょ。がっくり膝をつくマスタ
ー。なんと、紙一重でマスター凌ぐ事が出来たのだ。一気に、おこじょの体中から力が抜た。まるで
古代龍か、黒閣下にタゲられた様な気分だ。こんなにドキドキしたのは久しぶりである。ようやく落
ち着きを取り戻した所で、マスターから掛け金の10Kが手渡された。なによりお金を貰うのが大好
きなおこじょは、喜びのあまり小躍りしそうなのをぐっと押さえて輪に戻っていく。緊張の糸が切れ
た今、後は観戦モードになるだけである。また増える貯金にほくそ笑みながら、次ぎの挑戦者を見守
ることにした。

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